
ご存じかもしれませんが、全国の医院・クリニックの院長先生の20%以上が70歳以上と言われています。
そして今後、院長の高齢化は益々進むと思われます。そこで早めに準備したいのが、「事業承継」です。
事業承継をするには?
医院を承継する場合、個人医院と医療法人では考え方が異なりますので、簡単に整理しておきましょう。
1. 個人医院を承継する場合
<親子で事業承継を行う場合>
医院の土地、建物、医療機器などの所有権をどう移転するかを早めに検討しておきましょう。方法としては、
● 旧院長から新院長へ譲渡(売却)する
● 旧院長が新院長に貸与する
● 旧院長が新院長へ贈与する
の3つがありますが、譲渡所得や贈与税が発生しますので、どの方法が最も得なのかといった問題もありますし、仮に譲渡する場合、買い取り資金をどうするかといった問題もあります。
そこで、早めに相談&対策をされることをお勧めします。
また、借入金を引き継ぐ場合は、債権者の同意を得た上で引き継ぐなどの処理が必要となりますので、併せて早めの検討が必要です。
<第三者に事業承継を行う場合>
1、個人へ譲渡する場合
個人医院が第三者に事業承継を行う場合は、開設者が代わることとなりますので、現院長による「廃業手続」と新院長による「開業手続き」の両方が必要です。
2、法人へ譲渡する場合
売り手の個人医院は廃止届を提出し、医療法人側は分院開設の手続を行います。
3、後継者がいない場合
後継者となる親族や第三者が見つからない場合は、廃業となってしまいますので、早めに「後継者探し」をいたしましょう。
2. 医療法人を承継する場合
<後継者・親族へ承継する場合>
1、売却する場合
売却時に譲渡益が発生する場合、譲渡所得税がかかりますので、準備が必要です。
また、買い取る場合は、多額の資金が必要となりますので、買い取る側は計画的な資金準備が必要です。
2、生前贈与する場合
贈与の場合、業績によっては出資持分の評価が年々高くなることが多く、贈与税も多額となることが多いです。
そのため、出資持分の評価が高くなる前からの計画的な贈与が必要となります。
3、相続の場合
相続も他の場合と同様に、出資持分の評価が高い場合、相続税額も多額となります。
そこで、出資持分の評価が高くなる前からの計画的な事業承継プランが必要となります。
<第三者へ承継する場合>
1、法人から個人へ
売り手側の医療法人は、法人を解散し、クリニックの廃止届を提出し、買い手側の個人事業者は、新規で開設手続を行います。
2、法人から法人へ
売り手側の医療法人は、土地、建物、医療機器等を買い手側の医療法人に売却し、解散手続を取ります。対する買い手側の医療法人は、分院開設の手続を行います。